インフルエンザ薬(タミフル(オセルタミビル)、イナビル(ラニナミビル))による予防投与は、家族内で陽性者が出た場合などに発症を大幅に抑えることが報告されています。臨床研究では、発症率を約80〜90%減少させたとする結果があります。

予防投与について

医療従事者や入院患者などにおいては、インフルエンザ陽性者が出るなど明らかな曝露があった場合には、抗インフルエンザ薬の予防投与を検討するという提言があります。例えば、病院・高齢者施設での流行対策として、日本感染症学会は早期の予防投与実施を重要としています。ただし、ワクチン接種や日常の感染対策(手洗い・マスク・換気など)の代わりとしてのものではなく、「感染が疑われる・濃厚接触があった」という状況が前提となります。

予防内服は「症状が出る前」に開始することで効果が最大になります。「家族がインフルエンザになった」「どうしても感染を避けなければならない状況である」などの場合には、早めにご相談ください。

ただし、100%発症を防ぐものではありません。予防投与を行っても発症することは起こりえます。

また、予防投与に関する診療は、自費診療になります。保険は使えません。当院では、これまでの研究データ等が多い点から、タミフル(オセルタミビル) 10日間の処方を行います。

費用

診察4000円(クリニック)+ お薬代(薬局) 

*診察料とお薬代は別にかかります

対象

成人および体重37.5kg以上の小児

を対象としております。添付文書の用法・用量に従います。

参考資料

臨床研究データは成人のデータになります。小児学会では、以下のように記載があります。

インフルエンザの予防については、あくまでもワクチン接種やマスク着用・手洗いなどの対策が基本である。抗インフルエンザ薬による予防投与については、病院内における集団発生やインフルエンザ重症化リスクのある基礎疾患のある患者が曝露を受けた状況においてのみ考慮される。やむを得ず使用する場合は、原則としてノイラミニダーゼ阻害薬を使用する。

【参考資料】

  • Hayden FG, et al. New England Journal of Medicine, 1999.
    → 家庭内感染で 89%の発症抑制(1日1回・10日間の予防投与)
  • Welliver R, et al. JAMA, 2001.
    → 76%の発症抑制
  • Kashiwagi S, et al. Antiviral Res. 2013;99(2):116–124.
    →イナビル(ラニナミビル) 発症抑制効果:80.1~82.1%